イマドキJKは大変だ!! いくえみ綾「プリンシパル」&咲坂伊緒「アオハライド」
先日、近所に住む友人が遊びに来た時のこと。
彼女は、小学生息子クンの個人面談でかな~~りヒドい事を言われてダメージ目いっぱい。ベホイミの呪文もきかないほど落ち込んでいましたと。
息子くんは、いわゆるマイペースなタイプ。何かに夢中になると人の言葉がまったく耳に入らなくなってしまう。そういうタイプは担任との相性が命、ってところはありますけどね。あいにく相性のいい先生と出会ったことがないのが、息子クンと友人の悲劇。
個人面談で担任は、まあ言いたい放題言ってくれた上、「空気がまったく読めない」「もっと空気を読んでほしい」「家では空気が読めるんですか?」と連発してくれたらしい。
……あ、あの~~~~……。
空気を読める小学生男子って、なんか気持ち悪くないですか?
これまではずっと、吸ったり吐いたり感じたりしていればよかった空気ですが、今ドキは読まなければいけないものに成り上がりました。(いや、成り下がりか?)
「空気読め」
テレビのバラエティ番組で横行していたこのセリフが、今や実社会でもはびこりまくり、インフルエンザ以上の猛威で日本を席巻しています。
和をもって貴しとなすのが日本人の真骨頂。他人の気持ちは思いやりましょう。出る杭は打たれます。……もともとそういう土台の国民性ではありますが。最近の「空気読め」はなんか違う。
強制的で排他的。
空気読めない子はハブられても当然、くらいの勢いで、イヤ~~なものを感じてしまいますのよ、私。
んで、我が家には現役JK(女子高生の略)である娘がいるんですが、たぶん、今の日本で最も空気を読む能力が求められているのがJKという人種ではないかと。そりゃもう、明石屋さんまのトーク番組のゲストくらいには気を使い~の空気を読みまくり~の日々のようで、大変お疲れのご様子です。
帰宅しては、私を相手に延々と友達関係の愚痴をこぼすのも珍しくなく、さながら新橋の赤ちょうちんで店のオヤジ相手に会社の愚痴をこぼすサラリーマンのようです。
私もかつては(つっても30年!! とか前だけど)女子高生だった経験があるので、ああ、わかるわかる。そういう事ってあるよね、って部分もあるんですけど、イマドキJKの気の使いっぷりは当時の比じゃないっす。
彼女たちが恐れているのは、浮いてしまう事。ハブられること。
……自分を殺して周囲に合わせなければ維持できないお友達関係なら、いっそハブられたほうが気が楽じゃない? と私なんぞは思ってしまうけれど、それは多分、オバサンならではの図々しさを会得しているからかと。
私あたりから見たらどうでもいいようなちっぽけな事が、世界の重大事と感じてしまうのが、ほらっ、思春期ってやつでしょうか。

あの超名作!!!!と私は強く信じている「潔く柔く」を完結させた、いくえみ綾の新連載が『プリンシパル』です。
前作よりも明るい感じで、会話のテンポも小気味が良いです。人物造形もOK。でも、やっぱりいくえみ綾ですから。一筋縄ではいかない感じが、1巻目からにじみでています。
主人公は、高校で友人とささいなことで行き違ってしまい、ある日突然ハブられた女の子。
その理由っていうのがバカバカしくて、髪を切ってきた友人に、軽く笑って「変じゃね?」と一言言ってしまった。……だけ。
その結果のハブ→不登校と、お決まりのコース。
心配した親が、離婚して北海道に暮らしている主人公の実の父親のところに娘を送り出し、新生活を始めさせる。というところからこのマンガは始まります。
対して、やはり不朽の胸キュン王道少女マンガ「ストロボエッジ」を完結させた咲坂伊緒も、時期を同じくして新連載『アオハライド』をスタートさせました。
これがまたねえ……。
主人公は、顔は可愛いんだけどガサツな女子高校生。
しかしそのガサツさは、実は計算。
というのも、中学時代に、可愛くて男子に人気があるというだけで女子にうとまれ、ハブられて、中学卒業までそのままだったという苦い経験があるから。
高校生になり、その経験から、わざとガサツ系女子を演じて女子のやっかみをスルーして、ようやく念願の女友達を作ることができた主人公。
しかし……。
もうね、オバちゃん、言いたくて言いたくて仕方ないですよ。
「ちょっとアナタ、こっちにいらっしゃい。そこ、お座りなさい」って。
「アナタねえ、本当にそれでいいの? そんなウソの自分で作ったお友達でいいの? 嘘からは嘘しか生まれないのよ? そんな嘘っこのお友達のために無理してエネルギー使うくらいならボランティアでもしていらっしゃい」って。
ああ、だけど。だけどね。
オバチャンだって本当はわかっているの。
30年前の女子高生時代の自分を思い出せば。
友達って大事だよね。何より優先順位高いものだよね。
……とはいうものの、やっぱり30年前とははっきりくっきりと違うのよ。
どうしてイマドキのJKはそんなにお友達に気を使うの? 気を使わなくてすむのがお友達なんじゃないの? そこまでして傷つきたくないわけ? でも、傷つくのを怖がっていたら、いつまでたっても手に入らないものもあるんじゃないの?
いやまあ、そこはそれ。超ベテランのいくえみ綾と、ベテランの咲坂伊緒ですから。
ちゃんとこの先、紆余曲折の展開と、細かいエピソードもきちんとつなげてくれるのは間違いないです。
周囲の目ばかり気にして失敗を繰り返す主人公も、ちゃんと成長してくれるはず。
とりあえず、両作品とも第一巻では、つかみはOK!!と私は思いました。
それにしても、「イマドキJKは大変だなあ……」というのが、私の素直な感想でした。ああ、オバチャンの女子校生時代は30年前でよかったよ。
余談ですが、『アオハライド』のほう。第一話は主人公の中学時代のお話なんですが。まだハブられる前の。
中1の幼い初恋っぷりの描写がよくて、よくて……。
またも胸をキュンキュンいわせちゃいましたよ。
ちゃんと、中学生の恋と、高校生の恋と。きちんと描き分けられているあたりは、さすがに「別マ作家」だなあと。
今後の展開も期待して買っていきます。








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